管理者:金原瑞人

RAGWEED (1999) Avi Avon Books 178p

主要な登場人物
・ラグウィード:生後4ヶ月のオスのキンイロネズミ。外の世界に憧れてひとりで冒険の旅に出る。
・シルバーサイド:年寄りのメスの飼いネコ。生意気になってきたネズミをなにかと目の敵にしている。
・グレイバー:地下の下水道に住み、ごみを漁って生きる野良ネコ。
・クラッチ:町に住むメスのネズミ。頭を染め、耳にはイヤリングをしている。
・ブリンカー:シルバーサイドの飼い主の家で飼われているオスのハツカネズミ。
・ラジエター:『チーズ・スクイーズ・クラブ』のバーテンも兼ねる『マウスタウン』の町長。
・ディップスティック:クラッチのバンド仲間。
・ラグナット:クラッチのバンド仲間。
・ウインドシールド(通称ウインディ):クラッチの父親。現実逃避気味の絵描き。
・フォグライト:クラッチの母親。一日中詩を作って自分の世界にこもっている。


あらすじのあらすじ
ある日、いなか育ちのラグウィードは憧れの外の世界に飛び出しある町に降り立つ。そこで何度となくネコに襲われそうになりながらも、町のネズミたちと力を合わせネコを撃退する。その後ラグウィードは町には止まらず『うす暗い森』に向けて出発する。


あらすじ
 生まれて4ヵ月になるキンイロネズミのラグウィードは、生まれ育った静かで平和な『小川』にうんざりしていた。どうしても外の世界を見たくて、後のことを弟ライにまかせ、家族全員に引き止められても必ず戻ると約束してラグウィードは家を出た。
 自由を満喫しながら歩いていくと、道が二又に分かれた。そこで出会った年寄りのトクネズミから、東に向かう道を行くと『うす暗い森』へ、南に向かう方を行くと町へ続く線路にでるとおしえられた。ラグウィードは退屈そうな森より、いろんなことが起きるという町にひかれ、トクネズミが大切なことを教えてくれるのにも耳をかさず、さっさと南に向けて駆け出した。トクネズミが教えようとしたのは町にいるネコのことだった。『うす暗い森』にいるミミズクにも注意するよういったが、町に心奪われ上の空だったラグウィードの耳には全然入っていなかった。
 しばらくして停車中の汽車に乗りこみ、ラグウィードは都会へ向かった。汽車はものすごいスピードで進みだし『小川』があっという間に遠のいていく。さすがのラグウィードもこの時ばかりは寂しくなったが、これからのことを思うと胸の高まりを抑えることもできなかった。
 汽車は一晩中走り続け、アンペアビルという町にやってきた。生まれて始めて人間や車や大きな建物を目にしたラグウィードは驚きの連続だった。ところが汽車は賑やかな町中を通りぬけていき、やがて景色が変わると、がらくたやゴミの散乱した人気のない場所まできてようやく止まった。
 ラグウィードがやっと止まった列車から降りようしたその時、目の前に突如として一匹の白いネコが現われた。そのネコからよそ者は帰れと脅され襲われそうになり、ラグウィードはあわてて列車から飛び降り必死でがらくたの中を逃げ回った。しかし、いよいよネコに追いつめられてしまい、危ういところだったが、クラッチのおかげでなんとかネコから逃れることができた。クラッチは捨てられた車を住みかしているメスのネズミだった。しなやかな体つきをして、頭の上の毛を緑に染め、耳には紫のビーズでできたイヤリングをしている。町のことがなにもわからないラグウィードは、クラッチからいろいろなことをおしえてもらった。襲ってきたネコはシルバーサイドということ、ここは『マウスタウン』といって、町長がいて、学校やクラブもあるとてもクールな場所であること、クールといっても涼しいわけではなく、すごくいいという意味であることなど。ラグウィードが話についていけずに、なにかと質問すると、クラッチはとてもおもしろがり、質問にひとつひとつちゃんと答えてくれた。
 疲れ果てていたラグウィードは、クラッチのすみかのポンコツフォードの中で、まる一日眠り続けた。夜になって、クラッチに起こされ『チーズ・スクィーズ・クラブ』へ行こうと誘われた。なにやらさっぱりわからないままラグウィードは、ギターを抱えてスケードボードに乗るクラッチについていった。そこは『マウスタウン』の町長ラジエターが開き、バーテンダーも兼ねるネズミたちのあそび場だった。『ビー・フラット・タイヤ』というバンドを組むクラッチがライブを始めるとネズミたちは踊りだしたが、みんながちっとも楽しそうにしていないがラグウィードには不思議だった。
 その時シルバーサイドがもう一匹ネコを連れてまたしても現れ、ネズミを襲い始めた。クラッチはシルバーサイドに食べられそうになると、果敢にも持っていたギターを武器に戦おうとしたが、木のスプーンで作ったギターはあっけなく壊れ、シルバーサイドに襲われそうになった。ラグウィードはとっさにクラッチのスケードボードでふたりの身を守り、シルバーサイドがもがいているすきにラグウィードはクラッチを連れて逃げ出した。
 シルバーサイドにとって、二度も同じネズミを逃したこの一件は屈辱的なものだった。シルバーサイドは、ネズミどもが自分の分をわきまえておとなしくしていた頃が心底なつかしかった。ネズミが自分たちで町を作り大きな顔をして暮らすばかりか、最近では飼い主の娘が部屋でハツカネズミを飼うようになったせいで、シルバーサイドは家でも邪険に扱われる始末。ネズミに対する恨みは募るばかりだった。おまけに可愛がっていた孫ネコが憎きネズミと仲良く遊ぶのを目の当たりにしたときのショックが、シルバーサイドにある決意をさせた。
 その決意とは、「一番えらいのはネコである」というスローガンを掲げてFEAR(「ネコはネズミに激怒している」の略 )という同盟を結成し、ネズミを一掃しようというものだった。ところが、ほとんどのネコからそっぽを向かれ唯一賛同したのは地下の下水路に住み残飯を漁って暮らす野良ネコのグレイバーだけだった。しかし、それでもシルバーサイドはグレイバーと二匹でFEARを始めた。そしてその活動として『チーズ・スクイーズ・クラブ』へネズミ退治に乗り込んだのだった。
 『チーズ・スクイーズ・クラブ』から逃げ出したラグウィードとクラッチは、クラッチの両親のもとを訪れた。両親は共に芸術家だが、母親のフォグライトは詩作に没頭して自分の世界にこもりきり、画家の父親ウィンディは理想を追いながらも現実から逃避しているだけだった。クラッチは、ネコにはむかっても無駄なだけ、あきらめて生きていくしかないと言うばかりだった。
 そこへクラッチのバンド仲間が二匹逃げてきた。ラグウィードはなんとなくみんなと馴染めず、疎外感でいっぱいになってしまい、町から出ようと線路の近くまで来た時、またしてもシルバーサイドに追いかけられることになってしまった。
 線路の脇で汽車を待っていて、真っ白なネズミがシルバーサイドに狙われているところを目撃してしまったラグウィードは、どうしてもそのネズミを見捨てることができなかった。
 その白いネズミは、シルバーサイドの飼い主の娘に飼われていたハツカネズミのブリンカーだった。ブリンカーは外の世界にあこがれ、チャンスを見つけて家を逃げ出したが、帰り道が分からなくなって道に迷って休んでいたところを、よりによってシルバーサイドに見つかってしまったのだった。
 ラグウィードは仕方なく声をかけてから汽車に乗ろうとした。ところが汽車に乗りそこなってしまったばかりか、あろうことかグレイバーまで現れて大ピンチに陥ってしまった。泣きたくなったラグウィードの頭には、たくましいクラッチの姿がよぎっていた。しかしラグウィードは機転をきかせて、ブリンカーと一緒にクラッチの住みかになんとか逃げ込んだ。
 中に入ると、クラッチがもう帰っていた。ラグウィードは、クラッチとブリンカーが互いに引かれあう様子にやきもきしながら、町に来てからのことを振り返っていた。今までいろいろなことを見聞きしたが、ひとつわからないのは町のネズミがネコに対して無抵抗なことだった。
 そこで、ラグウィードは意を決してFEARに立ち向かわないかとクラッチに提案した。ネズミはネコから逃げてばかりいないで数を武器に戦えばいい。そのためにも元気を取り戻せるクラブを再建しようというラグウィードの意見に、クラッチは始め全く耳を貸さなかった。そこでラグウィードが、クラブにウィンディの絵を飾り、フォグライトには詩を朗読してもらいライブもしようなど話すと、クラッチは大喜びして賛成し、早速準備に取りかかった。
 ラグウィードは廃虚になった本屋を新しいクラブの場所に選び、名前を『カフェ・インディペンデント』とすることにした。ラグウィードとブリンカーは掃除を始め、クラッチは仲間に呼びかけてオープンに向けての準備の手伝いをしに来てもらった。
 掃除をしていると謎の物体があったが、ブリンカーから水をまくホースだと聞いたラグウィードは、さも自分が知っていたかのように振る舞い、ブリンカーの手柄を奪ってしまった。しばらくして、急にブリンカーが家に帰りたいと言い出した。ラグウィードは帰りたければ帰ればいいといって突きはなすと、ブリンカーは本当に出ていってしまった。
 ブリンカーとしては、ネズミが集まるにつれ真っ白で他のネズミと全然違う自分に向けられる視線が気になってもいたし、ラグウィードのクラッチに対する気持ちにも気づいていたので、自分がいては邪魔なだけだと感じて身を引いたのだった。
 準備の整った『カフェ・インディペンデント』は、ようやくオープンの日を迎えた。ネコに備えての警備も万全のはずだった。
 ところが警備の様子はシルバーサイドに筒抜けになっていた。というのも、『カフェ・インディペンデント』を後にして家に帰ろうとしたブリンカーは表に出た途端、待ち伏せしていたシルバーサイドに捕まってしまったのだ。ブリンカーが家からいなくなったのを自分のせいにされたシルバーサイドは、そのはらいせにネズミへ仕返しをしようと『マウスタウン』をうろついていた時、偶然『カフェ・インディペンデント』を見つけ、ネズミがでてくるのを待っていたのだった。
 ブリンカーはシルバーサイドから言うことをきかないとクラッチとラグウィードの命はないぞと脅され、ついに『カフェ・インディペンデント』の中の様子をさぐって密告することを約束させられてしまった。
 こうしてシルバーサイドはグレイバーと一緒に地下の下水道を通って、『カフェ・インディペンデント』に向かっていた。しかしながら、シルバーサイドは汚い下水道に転がったごみを漁りたがるグレイバーと歩きながら、グレイバーにも自分のしていることにもかなり嫌気がさしていた。とはいえ『カフェ・インディペンデント』が目の前にせまると、そんな気持ちもどこかに消えていった。あとは中に押し入るばかりだった。
 ところが、このFEARの様子が今度はラグウィードたちに筒抜けになっていた。それはクラッチから『ビー・フラット・タイヤ』のボーカルを頼まれ、ラグウィードがオープニングセレモニーで張り切って歌をうたっているときだった。いためつけられたブリンカーがぼろぼろになりながらも『カフェ・インディペンデント』になんとかたどりつき、ラグウィードたちにシルバーサイドのことを知らせたのだ。
 何も知らないシルバーサイドとグレイバーが、地下からの階段を上がってきた。ラグウィードたちはホースの先を階段の下に向けて待ち構えた。そして、ネコの姿が見えたと同時に百何匹というネズミたちが一斉にホースにつながる水道の栓を回した。その途端、水はものすごい勢いで飛び出し、シルバーサイドの顔に命中した。この水ぜめ作戦が大成功して、ネコは二匹とも下水管の中に消えていき、二度とその姿を見かけることはなかった。
 三日後、ラグウィードは線路の横で『うす暗い森』へ向かう汽車を待っていた。仲良く手をつなぐクラッチとブリンカーから引き止められたが、ラグウィードはもっと他の世界を見たいからと答える。町のネズミたちはラグウィードの活躍に対する感謝の気持ちとして『カフェ・インディペンデント』の名前を『クラブ・ラグウィード』にすることしていると聞き、ラグウィードは本当にうれしかった。そして、お別れにクラッチからビーズのイヤリングをもらうと、ラグウィードは感激で胸がいっぱいになった。
 いよいよ汽車が動き出した。ラグウィードは『うす暗い森』めざして、元気よく出発した。

 copyright © 2003 Mizuhito Kanehara

 last updated 2003/12/25